はぎまちブログ

このブログは山口県萩市の古い町並みに残る古民家の住み継ぎを考える「萩つくる会」の活動を紹介しています。

佐々並市伝建保存修理現場研修会

固いタイトルですいません。

初めて、佐々並市伝建地区(伝統的建造物群保存地区)で現場研修会を開催しました。

萩城下町とは全く異なる、赤瓦の町並みです。

今回はある土蔵現場からスタート。

左が大工さん、右が左官さんです。

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左官さんに、講義をお願いしました。

料理教室よろしく、各材料とその調合や手間について話をしてもらいました。

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特のこういう伝統的な補修ものの場合は、ものの状態に合わせるために、

自分で漆喰を炊いた方がうまくいくとのこと。

「塩梅」が大事だそうです。

この土蔵の左官仕事の様子は、左官さんのブログにアップされていくとの

ことですので、この講義の成果は、↓より確認していきましょう!

「壁の声が聞こえる」

 

後半はある町家の主屋です。

修理前は雨漏りもひどく、屋根一面にブルーシートが掛けられていましたが、

屋根はきれいに葺き替えられ、今は表構えの改修に取り掛かっています。

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この建物は、大正時代のものです。

伝統的な厨子二階建ての町家から二階に大きな開口部と高い天井高をとる

本二階の建物へと移行した時期のもののようで、その分、各部に少し無理がかかっていたので、今回の修理で相当の補強をしているあたりを解説してもらいました。

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少しずつ、民家が蘇っていくさまはうれしいものです。

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雨には勝てない

もう一月前のことになってしまいましたが、

第二回目の萩古民家調査を10月5日に実施しようとしました。

ところが、朝からの雨はやむこともなく、やむを得ず、室内での座学となりました。

ここのところ、取り組んでいるのが、調査成果をいかに手軽に分かりやすくまとめるかということです。会員はみなさん、本業がとても忙しく、休日を割いて調査をしてもそのまとめに手間と時間をかけることが難しい状況です。

そこで、調査成果のエッセンスをその日のうちにまとめようと、エクセル入力票を

試作しました。たいした表ではないのですが、各項目をプルダウンで選択するだけなので、調査からも戻ってきて、その場ですべて作業を終えられるようにつくってあります。

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で、調査ができなかったので、急きょ、このエクセルシートの入力講習会となりました。当日は、山口大学の学生さんも参加し、ちょっとしたパソコン教室になりました。

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みなさん、CADは得意でも、エクセルのプルダウン入力にはかなり苦労されているようで、まだまだ改良の余地がありそうです。

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かつて経験したことのない

萩にとってこの夏は特別なものとなりました。

3か月前のこととなってしまいましたが、

山口・島根豪雨災害が発生しました。

萩市では須佐・田万川・むつみの各地に甚大な被害があったことは、

報道でみなさんご存じのことと思います。

私が復旧に関わった須佐では、大きな被害がありました。

須佐の町は関ヶ原の戦いで敗れ萩に移封された毛利に従い、

この地に移った重臣である益田家によって治められました。

益田家は萩藩の永代家老として藩政を支え、萩城三の丸(堀内)にも

屋敷(約12,000石)を拝領していましたが、この須佐の地にも居館を構えました。

この居館を中心に町人地と武家地が配され、いわばプチ城下町のような町をつくっていました。このため、この地域一帯の町並みは茶褐色の石州赤瓦葺の屋根なのに、

この須佐だけは、萩城下町と同じ黒いいぶし瓦で屋根が葺かれています。

そんな、美しい町並みも大きな被害を受けました。

かつての町人地である須佐本町は鴨居のあたりまで冠水しました。

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武家地のあたりはそこまで水位は上がらなかったようですが、

これまで大事にされたきた土塀が溶けて崩壊してしまいました。f:id:hagimachi:20130730160718j:plain

これらの被害をきっかけにこれまで住まわれてきた多くの民家が解体されることになりそうです。

焼き物で有名な近くの須佐唐津の集落では、

山からの土砂が押しよせ多くの民家が全壊しました。

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ある一日というか、ほんの3時間ほどの集中豪雨でこんなことになってしまいました。通常の土砂降りが50mmほど、80mmになると前が見えず、バケツをひっくり返したような状況と言いますが、今回の大雨は、これをはるかに超えるものだったと聞きます。気象庁はこの雨を「これまに経験のしたことのない」という言葉で表現しました。

今年の萩は、全般にも亜熱帯のような気候でした。

こんな気候が続いたら、植生や町の形も変わってしまいます。

地域に根差して生き続けた民家の危機が、こんな方からも押し寄せているとは・・・。

いずれにしても、特別な夏でした。

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萩古民家調査をやってみた

6月1日(土)に萩古民家の調査をやってみた・・・続きです。

いよいよ、町に出てみました。

旧萩城下にはいろいろな町があります。

今回は、森井家住宅の近くの  ココあたりをやってみました。

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町名で言うと、恵美須町・瓦町・油屋町・古魚棚町の4町です。

ちなみに、最後の町は「ふるうおのたな」と呼びます。

萩の町にはこんなすてきな名前の町がたくさんあります。

 

調査開始。

4班に分かれて、NPO萩まちじゅう博物館おたから調査班が拾われた

古民家について、外観から調査票に記入し、外観写真を撮影しました。

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お試しでやってみたのですが、結果から言うと結構うまくいきました。

たくさんの調査票が集まりました。

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歩くといろんな発見がありました。

まあ、反省点も多いですが、一回目としては上出来かと・・・。

小さい時から知っている町なのに、あらためて歩いてみるといろいろと発見があったようです。この発見をみんなで共有できるようなまとめを工夫しようということになりました。

次回は暑い時期を過ぎてからやろうと思います。

 

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萩古民家調査をやってみた・・・その前に

予定どおり、6月1日(土)に萩古民家調査を実施しました。

集合場所は、西田町の森井家住宅。

先般、修理が終わったばかりの萩でも大規模な江戸時代の古民家です。

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当日は、ご当主の森井さんも駆けつけてくれました。

ごあいさつをいただきました。

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森井さん曰く、江戸時代に建った時は平屋だったこの住宅が、

その後、二階建てになり、今回の修理で、より立派になった、

その意味では建った時よりも、今の方が建物のポテンシャルが上がったと・・・。

江戸時代から現在へ、進化する古民家ということです。

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森井さんは、修理工事の竣工式の時にこうも言われていました。

自分の父から受け継いだこの住宅だが、仕事で東京に移り、

父も亡くなり荒れ果ててしまい、この建物は父の代で役割を終えたと思い、

取り壊しを考えていたとのこと。

 

そうした時にあるつてで、大学にこの建物を詳しく調べてもらったところ、

建物のいろいろなことが明らかとなり、建物の価値を知ることになった。

そうすると、このまま取り壊すわけにはいかないと考え、この建物を残すことを

考えるようになった。

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そして、修理をし、森井さんは荒れ果てて取り壊しを考えていた建物を

今が一番いいと言い切られるようになったというわけです。

知ることで、やっかいものと思っていたものがおたからに・・・。

われわれもやるべきことが、あるようですな。

 

ちなみに、森井家住宅は、土日に公開中です。

 

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萩古民家調査をはじめます

つくる会では、萩古民家調査をはじめます。

古い町並みの残る萩には、古い古民家がたくさんあると言われています。

しかし、みんなが知っているのは文化財として指定されているものくらいです。

その裾野には、普通に町並みにたたずむ古民家がたくさんあります。

↓ この青丸の辺のことです。

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じゃあ、どこにどんな古民家があるの?

これらを、一度、拾い出してみようじゃないかという単純な動機です。

 

でも、実は先輩がいます。

既に、独自にどこにどんな古民家があるかを歩いて調べて、

ネットで公開しているNPO萩まちじゅう博物館おたから調査班の方々です。

グーグルマップを駆使して、たくさんの古民家の位置と写真を取集されています。

https://sites.google.com/a/npomachihaku.com/npomachihakuotakara/

 

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そこで、萩つくる会では、こうやってピックアップされた古民家を

建築士の目で一棟ずつ詳しく調べて、評価してみようと思います。

 

こんな調査票もつくり、チラシも用意しました。

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みな、本業もあり、なかなか忙しいのでちょっとずつしか進みませんが、

萩のまちなかに埋もれたおたからを再発見できればと思っています。

 

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萩つくる会とは

このブログの発信元の萩つくる会について紹介します。

つくる会は、要は萩の建築士の有志のグループです。

一般社団法人山口県建築士会萩支部に所属する建築士がメンバーです。

会員は30名ほどいます。

平成14年に発足し、地味ながらがんばってます。

日々、萩の地をベースに建築の設計や施工など萩を「つくる」仕事に従事している会員が、その合間に萩を「つくる」ことをやろうと集まりました。

ところが、萩つくる会の方での「つくる」ことは、新しい敷地に新築を建てるというよりは、旧城下町を中心に歴史的な町並みが残る萩の地の良さを再発見し、その町並みを遺し、いかしていこうとする活動が中心です。

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これまで、古い建物の現場研修や

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ちょっと、まじめに技術研修、

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土壁の施工方法の研修

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なんかを行っていました。

また、京都にある京町家作事組を中心に

古民家再生などに取り組んでいるグループで結成している

作事組全国協議会に加盟し、全国の仲間とも交流を深めてきました。

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まあ、地味にまじめにやっています。

なお、会員以外でもこういった活動に興味を持たれている人(20人近くいます)には

メールで時々、情報発信をしていますんで、希望される方はメールを下さい。

 

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三角州に住まう

萩の三角州です。

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(写真は「萩データベース」から提供を受けています) http://machihaku.city.hagi.lg.jp/db/index.html

 

美しいです。

三角州は江戸時代は城下町でした。 この中にたくさんの人が暮らしています。

今でも古い町並みをよく残しているということで、 お城のまわりや城下町の一部は国指定史跡や国選定の伝建地区などに なっていて町並みが保存されています。

でも、それは一部です。

こんなところや・・・

 

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こんなところがあります。

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そこでは、普通の生活があるんですが、少しずつこんな町並みが失われています。

古くて使いにくいから?

空き家で使うあてがないから?

お金がかかりそうだから? 

 

一方で都会では、こんな家を探している人がたくさんいます。

観光にくる人はこんな家をわざわざ見に来ます。

久々に萩に帰ってきた人にとっては懐かしくもあります。

やっかいものなのか、おたからなのか。

私たちの見方次第かもしれません。

 

で、萩に住まう建築士らのグループ 萩つくる会では、

萩の古民家を調べてみることにしました。

萩はやっかいな町なのか、おたからのあふれる町なのか。

願わくば、萩に住んでいることを誇りに思う、そんな町でありますように。

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