はぎまちブログ

このブログは山口県萩市の古い町並みに残る古民家の住み継ぎを考える「萩つくる会」の活動を紹介しています。

古民家×サテライトオフィス

みなさん、サテライトオフィスって聞いたことありますか?

ウィキペディアによると、本拠から離れたところに設置されるオフィスとあります。

サテライト・オフィス - Wikipedia

支店とか営業所とかじゃなくて、あくまでその会社の業務を

拠点から離れた場所で、まるで本店と同じようにやるようなイメージで、

インターネット環境が整った現代だからこそ、あり得るオフィスの在り方のようです。

高速通信環境を活かして、地方であっても東京のオフィスと同じような

業務ができる業種で、ひとつの働き方として盛んになっていて、徳島などは県を挙げて取り組んでいます。

企業一覧 / 徳島サテライトオフィスプロモーションサイト Tokushima Working Styles

ネットにより場所を問わなくなると、かえって場所の質が問われるようになり、

古民家でオフィスをやりたいという企業もあります。

その実験プロジェクトとして、つい最近まで明木(あきらぎ)の古民家において、

サテライトオフィスの実証実験が行われていました。

東京のIT企業ダンクソフトという会社が明木の古民家を3週間ほど借りて

実際にサテライトオフィスとして利用してみて、その実効性を確かめるというプロジェクトです。

 

さて、縁あってこのオフィスとして利用されていた古民家を見学させてもらうことができました。

明木は、萩城下町から瀬戸内の港町の三田尻までを結ぶ萩往還のかつての宿場町です。このブログでもちょくちょく出てくる佐々並と同じですが、明治中期に大火があり、町並みのほとんどをその時に焼失しました。ですから、多くの古民家はその後に建てられたものですが、その分、耐火も意識した重厚な民家が多く、佐々並とはまた違った風情です。

今回の民家がこれ。

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萩往還沿いには軒裏まで塗り込めた重厚な主屋と門を構え、その裏には土蔵や立派な庭園も備える立派なものです。石州赤瓦も映え、萩城下の町家とは全く異なる魅力があります。

内部も、よく手入れがされているので、サテライトオフィスとして利用できたんでしょう。座敷境に雨戸を引いた一筋敷居と鴨居(写真の赤矢印)が残され、縁側はもともと吹きさらしであったようです。

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佐々並もそうですが、座敷には座敷意匠としては必須アイテムの長押を打たず、厚鴨居に溝だけを彫り込む独特の意匠がみられ、萩城下町の古民家とは異なりますが、壁を黄土で仕上げ、足元に筍面を見せる面皮付の床柱を用いるなど明治中後期の萩地域の座敷と共通する要素もあります。

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便利さに満たされ、空調のきいた快適なオフィスで業務をしてきたIT企業が、どうしてこうした古民家にオフイス環境を求めるのか・・・。

 

これまでの古民家で語られる風情とか懐かしさとか、そんなものでないもっと本質的なものを彼らは求めているような気がします。

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世の中が一周まわって、古民家が東京のハイテクオフィスの先を行く時代がきたんでしょうか・・・。

- yo -